『自我経』スティルネル著 辻潤翻訳

昨日、改造社刊の元版を廉価で古書店より入手。背の状態は悪いが本体と箱の状態は普通。
辻潤が英語版から翻訳し1921年に初版が刊行されている。本書は25年刊の数版め。この後、改造文庫版になった時は『唯一者とその所有』と原題に直されている。ざっと流し読みをするが現代思潮社版の片岡の訳よりはかなり読みやすい。辻潤の翻訳が文字通り翻案に近いということなのか。改造社元版は出版当時、新山初代や金子文子たちが手にした『自我経』であろう。林芙美子も『放浪記』で『自我経』を買ったと記していた。内容の「理解」はともかくアナキストアナキズムに関心がある仲間たちの間で評判になり、皆一通りは手にしたのではないか。