1925年8月30日。古田大次郎獄中手記より「死刑囚の心理状態……」月曜日 晴

(藤井教誨師から聞いた話を記憶のまま引用)

普通の死刑囚の心理状態は、先ずこんなものださうだ。こゝに救ふと言つたのは、

少々言葉を濫用し過ぎたやうなものだが、要するに、非常な煩悶と恐怖に陥って

ゐる囚人を、何とか諦めさせ、忘れさせ、そして出来るだけ安らかに死なせてやる、

そのことを言ふのだ。…

古田大次郎中浜哲、ギロチン社