AMLへの投稿 RE: [AML 16298] 加害の歴史をタブーとしない…天皇国家への「対抗」、古田大次郎、『未来を開く歴史』に書かれていないこと。

1925年10月15日に市ヶ谷刑務所で処刑された古田大次郎
前の投稿で言及した中濱鐵(なかはま・てつ)と当時は摂政宮で
あった皇太子裕仁を要撃(まちぶせ)せんとしました。
 下記サイトで要撃以外の諸々のことはアップしています。
古田大次郎の生と死」
http://members2.jcom.home.ne.jp/anarchism/furutadaijiro.html

 また処刑後に出版された獄中手記が『死の懺悔』と編集者により
タイトルを付され(弁護を担当した布施辰治はそのタイトルに反対
しました)当時はベストセラーになりました。さらに別の出版社から
『死刑囚の思い出』も刊行されましたが発行後、発禁扱いになり
ました。それらは1970年代、黒色戦線社から復刻版が出され京都
の「三月書房」で扱っています(東京では模索舎、もうすぐ店を閉じる
書肆アクセス」が扱っています)。下の方にスクロールをするとリストに掲載
されています。
京都三月書房のサイト
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/sangatu/kokushoku-sensensha.htm#黒色戦線社の本
 
 9月15日に発行された、和田久太郎、中濱鐵の書簡、古田の日記を
翻刻した「日本近代文学館年誌」は頒価は千円で送料がかかりますが下記の連絡先で
申し込むと送ってもらえます。事前に問い合わせ・確認をしてください。
〒153-0041 東京都目黒区駒場4−3−55 
財団法人 日本近代文学館
電 話:03-3468-4181 FAX:03-3468-4185
郵便振替00140-0-47730
http://www.bungakukan.or.jp/

 東京での「ゆかりの地」のフィールドワークは
いくつかのコースで、これまで何回も実施、案内をしてきました。
 金子文子・朴烈関連で黒濤社、不逞社跡地など
本郷、谷中での労働運動社跡地等は、某大学大学院のゼミ
の受講生たちも案内しています。
 田口さんが遠い地から東京訪問の際は、ご案内します。また韓国でも
いくつかゆかりの地があり、昨年は7月に山梨や関東からの
参加者を募り、当地の研究者の人たちに案内をしてもらいました。
そして金子文子の墓碑があるムンギョン市でワークショップを共催しました。

 和田久太郎に触れているかどうかを「ものさし」にして、関東大震災
前後の時期の「日本史」の書籍をとりあげてみます。
 40年間、版を重ねている今井清一著『大正デモクラシー』(親本は66年刊行、
中公文庫版は2006年に改定版刊行)では頁を割いての記述があります。
 
 また今年の五月に岩波新書で刊行されたばかりの成田龍一著『大正デモクラシー
にも大杉栄と共に名前だけが出されています。(この本には私が知って
いる領域の記述だけでも誤記が散見されるのは残念ですが)。

 松尾尊兌(たかよし)著『大正デモクラシー』(岩波現代文庫・94年、親本1974年刊
行)には「過激法案」や「三悪法」反対運動が詳細に記述され評価できますが、和
田には言及していません。
 
韓・中・日の三国の研究者、編者たちによる『未来をひらく歴史』の初版、第二版には和田は登場することはありません。
 そもそも同書においては20世紀初頭の日帝本国における社会主義運動、天皇国家
への抵抗は語られず20年以上にわたり運動の記述に空白、欠落があります。
 19世紀末の自由民権運動の「挫折」からいきなり日本の(各国の)共産党誕生に
日本の社会「運動」の歴史が飛ぶという稀有な構成になっています。

 そこには、1900年代から1922年に至る時期の主たる事項である
1904,5,6年の日露戦争前後の平民社を中心とした非戦派の活動、
日本社会党」の結成、
1908年の社会主義者への大弾圧、赤旗(あかはたじけん)、
1909年から10年の大逆事件(宮下太吉、幸徳秋水ら)弾圧
1920年日本社会主義同盟の結成
 の記述が全くありません。
1918年の「米騒動」に関しては「新しい女性の登場」の項での記述は
ありますが大きく触れていません。

 もちろん社会主義や労働運動におけるアナキズムの「浸透」など
語られていません。(ちなみに先にあげた『大正デモクラシー』タイトル
の三つの本では触れています)。
 ただ本文外「コラム」にて二人のアナキストの記述があります。三つの
地域の社会運動の歴史の中でさすがに無視できないシン・チェホ、金子文子
の二人です。残念なのはシン・チェホの筆者の方はシン・チェホが獄死したことに
触れていますが、義烈団の「朝鮮革命宣言」を起草した後のアナキストしての活動を
「隠して」いることです。
 シン・チェホに関しては活動歴をまとめています。
http://members2.jcom.home.ne.jp/anarchism/shinjitentext.html
「朝鮮革命宣言」のごく一部はアップしています
http://members2.jcom.home.ne.jp/anarchism/shinchaeho-declarationofthekoreanrevolution1923.html
また義烈団に関しては韓国映画アナーキスト」と関連して言及しています。(後半部)
http://members2.jcom.home.ne.jp/anarchism/anarchists.cinema.html