AMLへの投稿。前田朗さんが[AML 16728] 「死刑再審請求事件の福岡事件」で講演を紹介した「福岡事件」そのものに関して、今日のテレビ朝日系の「スーパーモーニング」内で特集され「天国からの再審請求」とタイトル、9時8分から9時33分まで25分(CM含む)放映されました。

 情報番組としてはよくまとめられた内容で、独立したドキュンメタリー番組
として制作されなかったのが惜しまれます。(あるいは完成させるのか?)
 実際の実行者<死刑判決を受けたが「恩赦」で出所>、被害者遺族、刑務所の
教誨師<遺族の長女が父親の立場を証言>が無実を確信していたことを取材で答えて
います。しかし西武雄さんは無実を訴えたまま処刑されてしまいました。

11月、死刑をめぐりいくつかのこと。

1 83年前の1924年11月15日、13日の大審院死刑判決から2日後に難波大助は処刑
されています。判決の翌々日執行というのは難波の天皇一族打倒の意思を恐れ、報復
の処刑です。
 難波は「天皇一族の存在は日本社会革命を遂行するに当りての最大妨
害物である」と考え、ステッキ銃で自動車内のヒロヒトを狙いました。
 http://members2.jcom.home.ne.jp/anarchism/nanbadaisuke.html

毎日新聞 2007年11月20日〔福岡都市圏版〕は
<死刑制度について「法相が絡まなくても(執行が)自動的に進む方法はないか」な
どと発言した鳩山邦夫法相に抗議し、市民団体「死刑廃止タンポポの会」が18
日、福岡市内で集会を開いた。参加者は確定死刑囚の急増や死刑執行の常態化などの
状況報告を受けた上で改めて死刑廃止を訴えた。……>と報道。<免田栄さん(8
1)=大牟田市在住=がゲストとして講演。>と伝えています。

3 また11月16日の各紙は国連総会第三委員会の投票を報道。
 「国連第3委:死刑一時停止、初採択 99対52、日本は反対票。欧州連合(E
U)など87カ国が国連総会第3委員会(人道問題)に提出していた死刑執行の一時
停止(モラトリアム)を求める決議案が15日、小差で採択された。同委員会が死刑
のモラトリアム要求決議案を採択したのは初めて。国際社会で死刑反対の動きが強
まっていることを象徴する結果といえそうだ。
 賛成はEUのほかトルコ、イスラエルなど99カ国。反対は日本、米国、中国など
52カ国、棄権が33カ国。12月中旬の総会で採択されれば正式な国連総会決議に
なるが、委員会が小差だったため、総会での採択は微妙な情勢だ。日本はモラトリア
ムが憲法に反することなどを理由に反対した。…」


4 韓国の『朝鮮日報』ウェブサイトの日本語版では11月18日付けで
<韓国、来月「事実上の死刑廃止国」に>というテーマで記者が論文を書いていま
す。部分引用をすると、
「…死刑制度廃止の活発な運動が展開されているのも事実だが、その一方で多くの国
民は死刑制度を支持しているからだ。03年に国家人権委員会が行った国民意識調査で
も、一般国民の65.98%が死刑制度の維持を選択、20.9%は「死刑制度の廃止は時期尚
早」と回答し、86.8%が死刑制度廃止に反対であることが明らかになっている。04年
に韓国社会世論研究所が行った調査でも、死刑制度の維持は66.3%が賛成した。…韓
国基督教死刑廃止運動連合会会長のムン・ジャンシク牧師は、「フランスで死刑制度
が廃止されたときも反対世論は60%を超えていたが、ミッテラン大統領の決断で廃止
された。死刑囚のほとんどが恵まれない環境で育ち誤った人生を送ることになったの
だから、彼らが自らの罪を反省できるよう、死刑猶予制度だけでもまずは制定してほ
しい」と述べた。
 東国大学校の朴柄植(パク・ピョンシク)教授(法学)は、「死刑制度をなくそう
とするのは単に死刑囚を許そうとすることではなく、死刑制度が存在することによる
多くの問題を解決しようとすることだ。現場で死刑を執行する担当官が“殺人を行っ
たようだ”と訴えるなど、多くの別の被害者も発生している。死刑制度を維持するべ
きという理由が被害者の復讐心を満たすためならば、被害者に対する精神的治療を法
制化した方がまだよい」と主張する。>

 日本政府は日本国民の大部分は死刑制度を肯定していると、恣意的なアンケート調
査をもとに制度存続の
根拠としていますが「福岡事件」の真相、再審の根拠を毎日のようにマスコミが報じ
たら「国民」の大部分は死刑制度に疑問をもつようになると思います。

5 11月13日の保坂展人議員のブログでは死刑廃止論者、元最高裁判事、団藤重光(94
歳)さんの鳩山法相に宛てた手紙が紹介されています。
 http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/5ab7cf08daac837f692782cd4a751a3f

6 現在、私は無期懲役囚<強盗殺人で確定、本人は冤罪を主張>の仮釈放の身元引
受人を
受け、社会に取り戻すことができました。しかし矯正局の担当者に仮釈放の「立場」
から「完全」釈放を
求めるのですが、被害者感情が慰撫されないこと、本人が反省していないことを理由
に、その死まで
仮釈放「解除」という「恩赦」を実施しないようです。
 60歳過ぎでシャバに出て十数年たちました。当初はたくましく自分で職を得ました
が、
少年時代からの長い監獄暮らしと社会に居るときのアルコールへの依存は身体を弱体
化させ、
現在は生活保護を得て介護老人施設にいます。現状ではその死まで法務省に管理され

生活を送らざるを得ません。
 監獄当局による医療体制が崩壊していることは徳島刑務所が例外ではなく、各刑務
所で
も似た状況です。短期拘留者もそうですが超長期の獄中者が獄中医療をまともに受け
られない
ことは緩慢なる処刑のへの道に等しいものです。最近、獄中医療に関して当事者と知
人医師への
相談に同席し「患者」としての権利が侵害されていることを実感しました。
 死刑制度、報復制度としての懲役矯正が解体されることを訴えます。