2008-09-10から1日間の記事一覧

1925年9月10日古田大次郎獄中手記より『死刑の宣告を聞きにゆく日』九月十日! 去年の今日、朝早く、寝込みを襲はれて村木君と僕は、他愛なく警視庁に挙げられて終つたのだ。早いもので、もう一年経つた。因縁の深い今日、刑の宣告を承はりに、さア出掛けるとしようかな。

帰監後、予ての覚悟だつたから、宣告を聞いた後も、怖ろしい事も淋しい事もない。実に静かな気持ちだ。判決が思ひ通りだつた所為か、大変愉快だ。…今日は加藤一夫君が来てくれたので…仮監で和田君に会つた時、和田君は物も言はずに突然手を握つて「しつかり…

1924年9月10日古田大次郎逮捕。古田大次郎、弾圧。上蛇窪の根拠地に刑事を派して内偵させた所、倉知は七月二十八日金策のため下阪して六畳、三畳二間の長屋には古田と村木が潜んで既に製造された爆弾十数個が積み上げられてゐることが判り、万一踏込みが知れるや爆弾を爆発し自殺しかねまじき形成なので刑事は二日三晩といふもの同家を遠巻にして捕縛の方法に苦心の末遂に多少の犠牲者を出す覚悟でいよいよ九月十日午前一時頃刑事部からは土屋、出口、恒岡の三警部及び特高、内鮮刑事部からそれぞれ敏腕な刑事三十名を選び全部変装してこれを

……夜になるとコツコツ 隠れ家の怪 上蛇窪の隠れ家は差配金子峰蔵から七月十五日から一月廿二円敷金三ヶ月分として借り受けたものであるが誰が住んでゐるのか近所の者には顔さへ見せなかつたが…。