和田久太郎、堺利彦宛書簡

<久太と渋六 日なたぼっこの会の約束>堺利彦「和田久太郎君が去年以来、監獄から私によこした手紙を集めて、繰り返し読んで見た。 そこに『久太と渋六』の面影が(少なくとも私にだけは)非常に面白く現れている。
以下、それを抄録して見る。

<母を懐う>
古土瓶洗いて居ればたわいなくぽろと欠けたり母を憶いぬ

苦しみを歯に喰いしばる癖ありし母のその歯もいまは亡せけん

真ごころに神も仏も拝み得ぬ母の産みたる汝ぞと泣かれし
(十四、三、三一)
1925年3月31日「あくびの泪」にも収録。