1926年4月5日『黒色青年』創刊。

『黒色青年』紙の「消息欄」より
■黒色青年連盟事務所は、東京府下南品川町二日五日市町二四四に移転した。
★註、機関紙題字左の発行所住所には「南品川二日五日市町二四四」とある。
■同連盟第三回演説会を無産政党批判演説会として神田区スルガ台下、中央仏教青年会館に於て3月25日午後6時から開催した。
■労働運動社、近く機関紙再刊
■自然児連盟、都合上解体、残務整理、府下上落合六二五前田淳一君方
■自我人社、機関紙『自我人』第2巻第1号発禁、以来休刊しているが、今回、論戦社と合併し、従前のままにて4月 中旬発行
■黒旗社は『黒旗』を1月発刊したが禁止、休刊していたが近日中に発行
■朔風会は、市外杉並村高円寺915に移転
■無軌道社発行の『無軌道』は昨年12月発行、発禁、以来休刊、遠からず出版されるに至だろう
■野蛮人社同人は一時分散
■解放戦線社は『解放戦線』を3月に発行
■黒色運動社、市外西巣鴨町堀ノ内111、新しく生まれた、同人崔圭宗、李弘根、金墨、中駿遠の諸君、3月29日午後6時より、東京市本郷3丁目、帝大仏教青年会館にて朝鮮問題講演会、開催される
■黒旋風社、近く新たに機関紙を発行する予定
■関東労働組合連合会は東京府下南品川町二日五日町244に移転した。同連合会の松田十九二君は未だに市ヶ谷刑務所の未決にあり、近く公判に附される
■全国印刷工連合会は機関紙『印刷工連合』を毎月発行
■中央自由労働組合は、自由労働者組合と合併、江東自由労働者組合と改称
■無差別社の機関紙『無差別』は本年一月第二号を出版、重ねて発禁され廃刊す。同人望月辰太郎君は官権の憎悪を買い、3月6日拘留15日に処せられ同日浦和刑務所に護送された。
■田坂?春、その他二三の諸君によって、大分県別府市松原通り6丁目に黒流社が設立され、機紙を発行する運び
■関西労働組合自由連合会は大阪市此花区下福島5丁目に移転した。
広島市皆實町1丁目土手側に新しく黒人社が設立、近く機関紙『黒人』が発行
大阪市此花区吉野町2丁目55に自我声社が生まれた、機関紙『自我声』創刊号を3月20日創刊した。
■中国評論社は機関紙『中国評論』を4月から週刊にする由
■名古屋労働者からは機関紙『名古屋労働者』が毎月発行されている
熊本市に新たに黒潮社が生まれ、機関紙『黒潮』の創刊号を2月下旬に出版
■自由新聞社からは月刊『自由新聞』が発表されている
■朴烈、金子文子の、両君の大審院における公判判決は来たる3月25日と決定
■大阪におけるギロチン社の一味、中浜哲君は大阪控訴院に於て死刑の言い渡しがあった。断罪の日は多分3月下旬だろう。尚一味の判決は左の通りである。 判決、無期懲役、小西次郎、河合康左右、の両君。懲役15年、茂野栄吉、内田源太郎、小川義雄、仲喜一の四君、懲役8年、田中勇之進君、懲役3年、伊藤孝一、上野克己の両君である。そして、河合君を除いた外、全部は上訴権を抛棄した。
■朴、金子両君の判決 3月25日両君の判決は共に、死刑を言い渡された。
朴君は「裁判は愚劣な劇だ」と叫び、金子君は「万歳」を叫んだ
黒色青年連盟の創設
官憲側の資料によると以下の経緯ということになる。
「黒色青年聯盟に関する調 警保局保安課 二六年二月」『続・現代史資料 アナーキズム』より
一九二六年一月二日牛込区横寺町芸術倶楽部に近藤憲二外十九名の無政府主義系の者集合し
「…無政府主義系青年同盟を組織すること全国同志団体に加盟勧誘状を発すること等を協議せり」一週間後の一月九日更に同所に於て
「第二回会合を催し各団体より二名宛宣言綱領起草委員を選び宣言のみを起草し」
同月十五日には「芝区浜松町関東労働組合聯合会本部に於て総会を開催したるが参加団体廿団体参加人員六十一名にして団体の組織、運動方法及資金調達方等に付左の諸項を協議し且つ…不穏の宣言書を配布せり(一月十六日発売頒布禁止)」
「運動費用 参加団体の支弁とすること」
同月二十七日小石川区西丸町一九番地東京印刷工組合本部に総会を開き
「同月三十一日芝協調会館に於て演説会を催すること」…等を協議し散会せり
宣伝演説会の状況
一月三十一日夜芝協調会館に於て黒色青年聯盟一派は演説会を開催、聴衆約五百五十名席上同志の者四十一名講演を為したるが何れも不穏の言辞を弄し…論議の中止を為し不穏の事故なく散会せり
宣伝演説会取締の状況
 右集会に際しては警視以下制服警察官九十二名私服警察官十四名計百六名を派して取締に当れり。