『正津勉詩集』84年7月二刷よりのメモ

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自殺狂日録──1979年夏
七月×日
昭和十九年十一月二十四日、一人の男が虱にたかられて餓死している。スカラジブシーを称したスティルネリアン、辻潤である。さらにその二年ばかり前、即ち昭和十七年十二月二日、一人の男が路上でたおれて衰弱死している。『色ガラスの街』『障子のある家』の詩人、尾形亀之助である。戦局は急を告げていた。この二つの死をみとったものは誰もいない。今晩はこの事実にだけ没頭。

137頁 「QUESTION35」
 ──正津勉氏の世界
問 はじめて読んだ誌は? 
答 その昔、投稿少女だった九歳上の姉の詩。
問 詩をかきはじめた動機は? 
答 姉の詩にあった暗くそして哀しいものに遠く魅かれて。
問 好きな詩人は?
答 好きな詩人、好きな役者? ドロ亀こと尾形亀之助、クズ鉄こと中浜哲
 略
「素稚瑠」22号・1979年8月