『金子文子 わたしはわたし自身を生きる』金子文子:著  鈴木裕子:編 発行:梨の木舎 今日、刷り上りました。

A5判 278ページ 並製
定価:2,600円+税 ISBN4-8166-0607-6 C0023

初版発行年月:2006年08月
書店発売日:2006年08月05日

今年は金子文子1903年〜1926年)没後80年にあたり、彼女が残した手記・調書・歌・年賦を記念出版。
1923年9月3日、関東大震災の混乱の中、文子は逮捕。26年3月25日、大逆罪で死刑判決。のち無期懲役減刑になるが、7月23日獄中にて縊死。
金子文子の生き様は、時代をこえて、人間への愛と、権力への反逆に生き、「わたし自身を生きた」金子文子の生と死は、わたくしたちに勇気を与える。


目次
まえがき
1 何が私をこうさせたか 
2 調書 
3 歌集--獄窓に想う   
金子文子・年譜   
解説・鈴木裕子       

前書きなど
 本書は、わずか二十三歳で生涯を閉じた金子文子(一九〇三〜一九二六年)が、獄中で執筆し、歌った手記と歌集、さらに囚われ、裁判に付され、その間、文子が陳述した調書類をもとに構成されている。・・・中略・・・端的にいうと、本書は金子文子の「復権」を意図して編まれた。文子については、敗戦後、黒色戦線社の大島英三郎氏らの尽力で手記や歌集、裁判記録等が編集、発刊され、文子に関心を抱く人びとの便宜の供にふされてきた。かくいうわたくしもその恩恵を受けた一人であった。また文子の研究書としては、山田昭次氏の『金子文子 自己・天皇制国家・朝鮮人』(影書房、一九九六年)というすぐれた評伝がある。しかし一般的にはそれらの書を手に取る人は限られ、多くの 人びとはその名さえ知らないであろう。
 若いころから、金子文子の思想に魅かれていたわたくしは、より多くの、とくに若い人たち金子文子という女性を伝えたいと願っていた。最近はとりわけその念を深めていた。一冊で文子自身の言葉による、その思想・生き方をコンパクトながら学んでもらうための企画を考えていた。そうした矢先、今般、梨の木舎が新たなシリーズ「自由をつくる」の第一冊目として発刊していただけることになった。編者の喜び、これにすぐるものはない。