田村隆一『ぼくの東京』1988年1月、徳間文庫刊行。(元本は1980年12月、双葉社刊)

岡本綺堂の「半七捕物帳」を手がかりとして江戸、東京を歩き、現代都市となった東京を愉しむ<東京論>。三話めが≪「熊の死骸」高輪≫
以下は田村の引用を孫引き「引用」。岡本は1845年、弘化二年の正月二十四日の江戸の大火を題材に物語を創作。午後二時に青山の武家屋敷から出火、麻布、芝の三田、二本榎、高輪まで燃えぬけ午後八時に鎮火。焼けた町数は百二十六ヵ町という。半七は高輪に住んでいる同僚を見舞いに行く。その火事現場に異様な獣が現れる。大きな月の輪熊。麻布の膏薬屋が看板代わりに飼っていたのが逃げ出したということ。
原作はそれから事件が起る。高輪の海辺で薬問屋の娘が殺され熊の毛を握っていたという。半七は熊の死骸が高輪の山中に埋められたことを突き止める。
田村隆一はこの創作を手がかりに高輪の海辺と「山」をタクシーに乗って探すという趣向。田村はホテルパシフイック辺りと見当をつけるが、これは違うのではないか、高野山東京別院東禅寺の裏手辺りが相応しいと推測をする。添付の簡易地図も通り名を間違えて記載。(編集者の誤記ではあろうが)。
5月14日の「トスキナア」講座に参加する方は月の輪熊が埋められた「山」中を想起しながら周辺を歩いてください。
田村隆一は取材行の後、「忘年会を浅草でやろうじゃないか」と呼びかける。

その浅草では何が起っているかAMLに投稿されていた呼びかけを転載。
【さくらまつり期間の隅田川・桜橋野宿者の闘いへ注目を!
排除を画策する墨田区土木課へ抗議を!】
2005年、墨田区・桜橋と言問橋の間の一帯は「地域生活移行支援事業」の対象地
区となり、多くの野宿の仲間が生活の場をアパートへ移していきました。その後、墨
田区は事業の対象地域を新たなテントをつくらせない(新規流入防止)地域として監
視するとともに、区全域にガードマンを徘徊させ、小屋をもたない仲間が横になるの
も許さないという非人道的な体勢をとってきました。昨年7月、区内の大横川親水公
園(錦糸町)では、野宿していた香取正光さんが少年によって虐殺されました。この
事件もまた、野宿の仲間に対する区の非人道的な姿勢を背景にしたものに他なりませ
ん。

これに対して、8月、桜橋・高速道路下のデッキで仲間たちの集団野営が開始されま
した。これは仲間たちが団結して野営することによって、自らの生命を守り抜く取り
組みです。当初、少数によってはじめられたこの試みは、仲間の輪を着実にひろげな
がら、40名以上の仲間が参加するものへと勝ち取られてきました。

しかしこの地域は花見の時期、住民が茶屋をだす「さくらまつり」の、さらに4月中
旬にはレガッタの会場となります。その間、ここを野営の拠点とすることはできませ
ん。
仲間たちもさくらまつりの妨害をしようとは考えていません。仲間たちは墨田区土木
課にその間の対策をもとめて質問状を出し、回答をもとめましたが、期日が来ても墨
田区土木課は無回答、電話で回答を求めるも 「回答する意志はない」。話し合いを
求めて土木課を訪れた仲間たちに対しては、窓口でも全く対応をせずに終業時間まで
無視し続け、最後はガードマンに排除させました。区がさくらまつりを機に、この場
所を寝泊まりさせないための監視下におこうとしているのはあきらかです。

仲間は「さくらまつり」のあと再びもとの場所に戻り、寝る場所がなく疲れ切った誰
でも受け入れるような、仲間が助け合う今まで通りの空間を維持していきたいと希望
しています。仲間は総意でそのことを確認しつつ、別の場所に集団で移動することに
しました。その第一陣として白鬚橋上流のテラス、そして銅像堀公園へ19名がテン
トを建て、さらに15日夜、事業を拒否して残った4軒のテントがある、桜橋から言
問橋のテラス区域に、7軒のテントが迅速に建てられたのです。この区域は「新規流
入防止」地区ですが、本来、行政は「新規流入防止」の期間を事業実施から6ヶ月と
していたはずで、とうに解除すべきはずです。にもかかわらず4軒には排除の圧力が
強められようとしています。仲間たちはいま、この4軒をささえるとともに、テント
を持てずにいたすべての野宿の仲間が新たにテントを建てて自らの生命を守っていく
ため、「新規流入防止」に対して異議を示すために、ここにあえてテントを建てたの
です。
しかしテントを建てた翌16日、同地域を管理する東京都第五建設事務所は一日後の
撤去を通告する警告書を貼ろうとしてきました。これに抗議した仲間の声を前に役人
は女性支援者の下腹部に膝蹴りを加えるという暴挙に出てきました。女性支援者への
暴行は全治5日におよぶものですが、これについて第五建設事務所はいまだ自らの非
を認めようとしていません。さらに五建が警察に通報したことで、20名以上の制服
警官と私服の公安が現れ、弾圧をはかるという事態になりました。私たちは、第五建
設事務所がこの件で非を認め、謝罪するまで追及を続けます。

私たちは仲間たちの決意にこたえるためにも、新たなテントを守り抜くとともに、
「さくらまつり」以降、ふたたび桜橋を仲間が自らの生命を守りきり、新たな関係を
つくりだすための空間としてとりもどすための取り組みを開始しました。
まず私たちはとりわけすべての元凶たる墨田区に抗議し、対策をもとめます。その上
で、第五建設事務所と東京都に対しては、強制排除を許さず、話し合いをもとめてい
きながら、新たなテントの仲間を防衛していきます。現在、『新規流入防止』は全国
的に行われており、このままでは多くの野宿者が雨露をしのいで体を休めることもで
きず、次々と野垂れ死にしてしまいます。

この取り組みは、隅田川のみならず全都・全国の野宿者にとって死活をかけたものと
なるでしょう。今後の事態に注目してください。
ぜひ、この一連の行動と情勢に注目とご支援をお願いします。

山谷労働者福祉会館活動委員会/山谷争議団・反失実

【お願い】
・ 桜橋のテントの仲間への激励のメッセージを送ってください。特に皆さんの運動
や現場からの訴えもこめてくださるとうれしいです。これは現地でカードにして貼り
だします。
FAX:03-3876-7073、
e-mail:san-ya at jca.apc.org

墨田区に「当事者の声を聞け、まともな対策を行え」、東京都第五建設事務に
「強制排除するな、話し合いを尊重せよ」のFAXを送ってください。 墨田区木管
課占用担当
ファックス: 03-5608-6410
メール: KANRI at city.sumida.lg.jp

東京都第五建設事務所
FAX 03-3692-8710

・ 今後の行動、賛同のよびかけにご注目ください。