2006-04-01から1日間の記事一覧

<埃が裾風に立つ部屋>室生犀星「萩原朔太郎」一九三〇年

彼が最近乃木坂倶楽部に滞在してゐたことがあつが訪ねると留守で一時間ばかり待つてゐる間に、如何に此の男がものぐさい構はない無頓着な男であるかを熟々感じた。第一彼は脱いだ洋服をそのまま丸めて壁ぎはに片寄せ、その次ぎにはズボンを筍の皮のやうに剥…

1926年4月1日『労働運動』15号 

<秋田から> 和田久太郎 <消息>高島三次君下獄、懲役2年 朴烈君の裁判 ギロチン社事件高裁判決 前年に続き、この26年も大きな事項が報告されている。金子文子・朴烈の大審院公判、中浜哲への死刑判決と続く。高島三次は『日本アナキズム運動人名事典』で…

1925年4月1日『労働運動』第9号  

<治安維持法の出現に際して> <市ヶ谷にて>和田久太郎 <馬来半島に於ける無政府主義運動> 山鹿訳 <醜い尻っ尾>「和田君等の事件が予審終結となり、…三月七日、治安維持法が上程」 <爆弾暗殺事件予審決定書> <後藤君の追憶>和田久太郎 <同志村木…

詩 萩原朔太郎『氷島』収載

≪乃木坂倶楽部≫ 十二月また来れり。 なんぞこの冬の寒きや。 去年はアパートの五階に住み 荒漠たる洋室の中 壁に寝台(べつと)を寄せてさびしく眠れり。 わが思惟するものは何ぞや すでに人生の虚妄に疲れて 今も尚家畜の如くに飢えたるかな。 我れは何物をも…