第三章 関東水平社の沿革と全水の分断

一 初期水平社創立と世良田事件
「関東水平社」結成の源泉となったものは、ふたつあって、ひとつは、全水の栗須七郎が、全水創立の年、オルグの目的で、群馬県[]に住む、独学力行のひとで、十六年間、県内、東京、山梨などで教員、校長を歴任、教職をしりぞいてから村にかえり、村内で信望ある長老、M.S.(明治五年生)をたずねたのがきっかけとなった。それと前後して、同村の青年、S.T.は自己が編集する『農民新聞』によって、小剣に知られ、連絡をとっていた