小説「彼と彼の内臓」江口渙 2月2日書込み

 ≪同時代の作家に描かれたアナキスト≫[近藤慶太郎というアナキストは何処に] 執筆テキスト

 江口渙の「彼と彼の内臓」は特異な小説である。短編の中で遺体解剖と内臓の描写が大きな比重を占めている。アナキスト詩人、後藤謙太郎が一九二五年一月監獄内で死亡した。その死因追究を描いた小説である。初出は『改造』誌、一九二七年五月号。
 江口は山本宣冶や小林多喜二の死の直後にも駆けつけている。小林のケースでは同志たちと共に遺体の検分に立ち会い、記録文学として直後に発表している。江口は軍医であった父親の権威には反発していたが、解剖、虐殺された遺体の描写、記録に関しては潜在的に父親の影響を受けたのではないか。……

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