読書・アナキズム文献

萩原恭次郎詩集

<春浅き日の死> 宇佐見五郎に 五郎兄いに初めて会つた時五郎兄いは手に繃帯をして首からつつてゐた 僕は世田ケ谷の家に頭や手足に繃帯をし全身に重くうづく打撲に寝てゐた 二度目に会つたのは下北沢の『×××』を訪ねた時だ 僕等はしつぺをかけて雨戸を引い…

備前又二郎「陣痛前後」

福島の「平民新聞が、××事件の巻添えを食らってブッ潰れて以来、久しい間意気衰えていた関西アナの運動も、さかりの付いた、犬の様に、折柄の欧州大戦以後の労働争議頻出に際會して岸井、新谷、小西(武)山田、筬治、伊藤(孝)、及び僕等を●人として<関西…

『秋山著作集』月報2

<『ニヒルとテロル』と『余白の春』>関陽子 『婦人公論』の編集者として瀬戸内晴美『余白の春』の連載の経緯が述べられている。(一昨年のコスモス忌でも語っている)。1971年新年号から72年3月号。関さんの依頼のきっかけは「ニヒルとテロル」に収載の秋山…

「二十六日夜半」その参

其処でかふした私の態度に発せられたと憶える昨日の上村氏のご質問に対し、徹底的に答へて置きます。上村氏は私が『もうどうせ此処まで来たのなら』と云ふ風な気もちでお役人の訊問に応じた事はよかったかとのお訊ねでしたが、其の先がちと曖昧だった。『も…

金子文子・朴烈大審院判決 部分

理由 両者の略一致せる極端なる思想は輒滋々高潮して其の理想を実現せしむる為具体的計画を樹つるに至れり大正十二年の秋頃挙行あらせらるる趣に伝えられたる 皇太子殿下の御婚儀の時を機として至尊の行幸又は 皇儲の行啓を便宜の途に擁し鹵簿に対し爆弾を投…

「二十六日夜半」金子文子 その弐

其処で私は今日申した通り自分が何主義だか何思想だか知らない。私が知って居る事は「自分は斯ふ思って居る」と云ふだけ。しかし若し此処までの私の考え方に便宜上ちょっと客観的に断定を下して置いて見るなら、私は多分個人主義的無政府主義者と呼んで差し…

『獄窓から』和田久太郎

昭和三年一月九日 地球がガタンといふ響きと共に廻轉して、此間お芽出度い昭和の三年がやって来た。 さてお芽出度う。久さんも御年三十六歳にならせられた。君も、ふく子さんも、桂君も、公っぺいも、明坊も、皆んな間違ひなく一つだけ年をとつた事と考へる…

『獄窓から』和田久太郎

大正十四年十二月十三日 漸くの事で此の手紙を書かせて貰ふことになった。九月以来だから、一寸久し振りだ。皆々無事壮健の事と信ずる。 先達って、近藤君と共に桂(望月)君が面会に来てくれたのは、大いに嬉しかった。厚くお礼を言ふ。近藤君へは残念ながら…

『獄窓から』和田久太郎

昭和二年三月十三日 …恩典は予期しなかっただけ、それだけ喜びも大きかった。君の言葉の如く、これで『どれだけ心丈夫かしれない。』たとへ十八年後の遠い所にでも、兎にかく一点の光明が認められるやうになったのである。その遠い所の一点の光明が現在の心…

『獄窓から』和田久太郎

秋田からの書簡 大正十五年二月十一日 一月十三日附貴翰十八日拝見。お察し通り、始めは雁の如く、次に鶴の如く、時経っては麒麟の如く、大いに伸首して待てり。しかも披見に及んで、僕よりの依頼せし事情の為に遅れたるを知り、恐縮、大恐縮、首は忽ち亀の…

『大正自由人物語』その弐

望月桂、近藤憲二の二人は昼一二時ニ〇分に秋田駅着。 以下、小松による和田死去の日の状況が述べられている。「和田の急死は秋田刑務所の記録では監房にて午後七時に縊死(自殺)となっている」「二月二〇日は雪で明け、雪で暮れた。朝方には氷霰も舞った。一…

朝鮮革命宣言 1923年 部分 シン・チェホ

五、革命の道は破壊より開拓すべし。然れども破壊の為に破壊するに非ず、建設するが為破壊するものなり。若建設を知らざれば破壊する道も知らず、破壊するを知らざれば建設する道も知る理なし。……破壊せむとする目的は 第一異民族統治を破壊するなり。如何と…

『大正自由人物語』小松隆二著 88年発行岩波書店刊

2月21日、望月桂、近藤憲二、上野発夜9時半の急行青森行で秋田に向かう

和田久太郎

和田久太郎執筆記事一覧、概要 <『労働運動』紙> 『労働運動』第一次 騒擾中の足尾(二) 三号 五面 1920.1.1 「<大杉栄、当地に入込み>新聞紙の報道に煽動され梅田駅から乗ったのは師走三日の正午頃、東京の土を踏むや否や本社へ駆けつけてみると足尾へ…

黒色青年連盟

以前からデータを補足するつもりでそのままになっていた「設立」経過に関する官憲側の資料。 『アナーキズム』続・現代史資料、みすず書房刊より <二六年二月 「黒色青年聯盟に関する調 警保局保安課 一月二日牛込区横寺町芸術倶楽部 近藤憲二外十九名の無…

「ニヒルとテロル」その弐

目次 Ⅰ ニヒルとテロル 動と静──テロルとニヒル ニヒリスト辻潤 ニヒルの群像 テロリストの文学 管野スガ子の獄中短歌 金子ふみ子の回想録 村木源次郎の童謡 白袴・田中勇之進 酔蜂・和田久太郎 二人のロマンチスト──後藤謙太郎と中浜哲 テロリストと文学 ニ…

秋山清著『啄木と私』1977年10月15日発行 たまつ社刊 (たいまつ新書27)

『日本アナキズム運動人名事典』の秋山清の項の著作リスト、『秋山清著作集』の目録を見ても石川啄木に関するこの著書は触れられていない。<事典、石川啄木の項の「文献」には記されている> 啄木に関する文学研究は近年も盛んではあるが、秋山清が40年前に…

『秋山清著作集』

出版元のサイトにも内容紹介がまだアップされていません。15日午前時点。『秋山清著作集』第一巻 秋山清全詩集 11回配本 『白い花』『ある孤独』他既刊詩集、未刊詩集<朝にかけての団欒>、詩集未収録詩篇収録第二巻 日本の反逆思想 3回配本 『日本の反逆思…

内山愚童『無政府共産 入獄紀念 革命』

<今の政府を亡ぼして、天子のなき自由国に、するということがナゼ、むほんにんの、することでなく、正義をおもんずる勇士の、することであるかというに、今の政フや親玉たる天子というのは諸君が、小学校の教師などより、ダマサレテ、おるような、神の子で…

『秋山清著作集』第3巻「ニヒルとテロル」。

本日届く、カバーを外すと背が赤で表紙に五センチほどかかる。表紙は黒 元本となる『ニヒルとテロル』『やさしき人々大正──テロリストの生と死』は所蔵していたが改めて購入。元本の誤記でいえば村木源次郎の墓がある鎌倉の寺の誤植は直されていたが、金子文…

「ニヒルとテロル」秋山清著作集第3巻

ISBN:4827202036 秋山清 秋山清著作集編集委員会 ぱる出版 2006/02出版 20cm 358p[B6 判] NDC分類:081.6 販売価:\3,360(税込) (本体価:\3,200) 出版元のサイトに目次内容等のデータがアップされていないのですが、単行本の『ニヒルとテロル』全編、『や…